1. R Markdown とは

  • R Markdown とは「RMarkdown が結合されたもの」
  • Markdown とは John Gruber と Aaron Swartz が2004年に提案した Markup言語
  • R Markdown を使うと、コード、実行結果、説明文を同時に文書化できる

RStudio 上でR Markdown を使う利点

  • 分析する際の「着想」「分析コード」「分析結果」「考察」など一連のタスクを一つのファイルに残せる
    → 分析手順の再現ができる
    → 分析手順を確実にたどることができる
    → 「記憶違い」など分析上のヒューマンエラーを極小化できる
    ・出力形式:HTML, PDF, MSWord, PowerPoint など
    ・授業では HTMLでの出力を推奨

R Markdown とは何か?
Markup 言語、MarkdownR Markdownの違いを知るためには 2 種類のテキストの違いを知る必要がある

2 種類のテキスト  

1. プレーンテキスト(plain text

書式情報などが含まれていないテキストのみで構成されている文書
・「書式情報」とは文書の余白、文字の大きさ、文字の色などのこと
Rmd ファイルに書き込んでいる R コードも「プレーンテキスト」
・「プレーンテキスト」の例:
- macOSTextEdit
- Windows のメモ帳
・「プレーンテキスト」には書式設定や図表の挿入などの機能はない

2. リッチテキスト(rich text)

書式情報や図表なども含まれる文書
・「リッチテキスト」の例:
- Microsoft Word
- Pages
- LibreOffice Writer
・リッチテキストでは書式の設定や図表・リンクの挿入などができる

Markup 言語とは

・プレーンテキストのみでリッチテキストを作成するための言語
Markup 言語の代表的な例・・・ HTML:(HyperText Markup Language)
html には図表があり、太字、見出し、水平線などテキスト以外の情報を含む
html はテキストのみで書かれている
・画面を出力するためにはウェブブラウザが必要
・ウェブブラウザの一例:
- Firefox
- Chrome
- Edge
・これらのウェブブラウザがテキストファイルを読み込む
→ 解釈
→ 書式が付いている画面を出力する

Markdownとは

Markup 言語をより単純な文法で再構成したもの

R Markdown とは

MarkdownR コードとその結果を同時に載せることができる Markdown のこと

2. R Markdown の設定手順

手順 手順の内容 Steps
I. Rプロジェクト作成 :フォルダを作る(例:keiryo_2023 1 - 5
II. Rmdファイル作成 : ファイルを作る(例:first_trial.Rmd 6 - 10
III. Knit : ファイルを出力する(例:first_trial.html 11 - 18

I. Rプロジェクト作成

  • Rプロジェクトを作成すること = Rプロジェクトフォルダを作成すること

Step_1:

  • RStusio を起動して FileNew Project を選ぶ

Step_2:

  • Create Project の中から New Directory を選ぶ

Step_3:

  • Project Type の中から New Project を選ぶ

Step_4:

  • New Project を選ぶと、次のような画面が表示される
  • ここで Rプロジェクトフォルダを置く場所を指定する
  • Rプロジェクトフォルダをデスクトップに置くよう指定する
  • Browse」 をクリックする  

 

Step_5:

  • Browse」 をクリックすると、次のような画面が表示される
  • 画面左側にある「Desktop」をクリック
  • open」をクリックする

Step_6:

  • Step_6 の画面に戻る
  • Directory name:」に keiryo_2023 と入れてみる
  • ディレクトリ名やファイル名では、日本語は使わない
  • Create Project」をクリック

 

Directory name を入力する際の注意 ・半角・英数字を使う(全角文字とスペースは使わない)
・記号はアンダーバー「-」とピリオド「.」を使う
・ハイフン「-」は使わない
・アルファベットから始める(数字や記号から始めない)

Step_7:

  • 画面の右上端の「keiryo_2023」を確認
  • これが Rプロジェクトの名前

 

II. Rmdファイル作成

Step_8:

  • FileNew FileR Markdown を選ぶ

 

Step_9:

  • Title:R Markdown の使い方 と入力(ここでは日本語もスペースも ok)
  • Author: に自分の名前を入力(ここでは日本語もスペースも ok)
  • Date:"r Sys.Date()" と入力すると、自動的に日付を付けてくれる
  • Default Output Format: にはデフォルトの HTML をチェック

  • OK をクリック

Step_10:

  • これで Rmd ファイルができた
  • Rmd ファイルの名前は Untitled1

III. Knit

  • 「毛糸を編む (knit)」→ 「文字を編んで出力する」という意味

Step_11:

  • 毛糸のアイコンが目印の Knit をクリックする

Step_12:

  • ここでは Rmd ファイルに名前を付ける
  • これは Step6 と同様、日本語は使えない
  • ディレクトリ名やファイル名では、日本語は使わない
  • Save As: に first_trial と入力
  • Save をクリック

Save As: に入力する際の注意 ・半角・英数字を使う(全角文字とスペースは使わない)
・記号はアンダーバー「-」とピリオド「.」を使う
・ハイフン「-」は使わない
・アルファベットから始める(数字や記号から始めない)

注意:
first_trial.Rmd が出力される際、Step_13Step_14 の 2 つのケースが想定される

  • Step_13 のように表示された場合 → Step_16 に進む
  • Step_14 のように表示された場合 → Step_15 の指示に従う

Step_13:

  • 四分割された画面の右下に出力が表示される(これが first_trial.html

Step_14:

  • 下のような画面が RStudio とは別画面の html で開かれる

  • これだと不便なので、出力場所を RStudio 内の pane (右下)に表示させる

Step_15

  • 画面中央の上のあたりにある歯車のアイコンをクリック
  • Preview in Viewer Pane を選ぶ

  • 再度、Knit をクリックする
    → 四分割された画面の右下に出力される

Step_16:

  • 出力された画面の右上の端にある大きい方のアイコンをクリックする
    → 右下半分の出力画面 → 右半分の出力画面へと 2 倍の広さになる

Step_17: R Project フォルダ内の確認

  • 画面中央の上の方にある Files をクリック
  • ここで作成した keiryo_2023 という名前の R Project フォルダ内を確認できる

  • フォルダ内には次の 4 つのファイルがある
ファイル名 役割
.Rhistory 履歴ファイル
first_trial.html 画面右側の pane に表示される出力(htmlファイル
first_trial.Rmd 画面左上の pane に表示されるテキスト(Rmd ファイル)
keiryo_2023.Rproj RProject を開くためにクリックするアイコン

Step_18:

  • 下のように出力されれば成功!

3. R Markdown の文法

R Markdown ファイルの 3 つの領域

  • Rmd ファイルは次の 3 つの領域から構成される
領域 役割
YAML ヘッダー :題目・作成者情報・日時など文書全体に通じる設定
チャンク : Rコードが入るところ
マークダウン : 文書の本体

R Markdown 文法項目

項目
1. 改行
2. 強調:太字、イタリック、アンダーライン、取り消し線、色
3. 箇条書き
4. 見出し
5. 区切り線
6. 表
7. 画像
8. リンク
9. 脚注
10. 数式
11. 引用
12. コメント
13. R コードとチャンク
14. チャンクオプション
15. コードまたは結果の表示/非表示
16. プロット
17. チャンクオプションのもう一つの書き方
18. コードのコスメティック
19. ヘッダーのオプション
20. 目次の追加
21. コードのハイライト

3.1 改行

  • Markdown の場合、1回改行したがけでは改行は改行として判定されず、同じ行の連続と認識される

  • Rmd ファイルへの入力画面

吾輩わがはいは猫である。名前はまだ無い。
  • html の出力画面
吾輩わがはいは猫である。名前はまだ無い。
  • 改行するための方法:
半角スペースを 2 つ入れて 1 回改行
  • Rmd ファイルへの入力画面
吾輩わがはいは猫である。  # 半角スペースを 2 つ入れて 1 回だけ改行
名前はまだ無い。
  • html の出力画面
吾輩わがはいは猫である。  
名前はまだ無い。

3.2 強調:太字、イタリック、アンダーライン、取り消し線  

  • Rmd ファイルへの入力画面
文章の一部を**太字**にすることもできます  

文章の一部を*イタリック*にすることもできます  

文章の一部に<u>アンダーラインを引く</u>こともできます  

文章の一部を~~取り消す~~こともできます  

文章の一部を[好みの色、例えば赤]{style="color:red"}にすることもできます  
  • html の出力画面

文章の一部を太字にすることもできます

文章の一部をイタリックにすることもできます

文章の一部にアンダーラインを引くこともできます

文章の一部を取り消すこともできます

文章の一部を好みの色、例えば赤にすることもできます

3.3 箇条書き

  • 過剰書きにする 2 つの方法
(1) 順序なしの箇条書き
  • 半角ハイフン「-」の後ろに半角スペースを 1 つ入れる
  • 全角 2 文字以上の字下げで下位項目を追加できる
  • Rmd ファイルへの入力画面
- 研究テーマの選び方  
  - リサーチクエスチョンの種類  
  - 実証的問題  
  - 規範的問題  
  - 分析的問題  
- 「よい研究テーマ」の見つけ方  
  - 「よい研究テーマ」の基準  
  - 規範的問題から実証的問題への変換方法  
  - パズルを探す  
  • html の出力画面

  • 研究テーマの選び方

    • リサーチクエスチョンの種類
    • 実証的問題
    • 規範的問題
    • 分析的問題
  • 「よい研究テーマ」の見つけ方

    • 「よい研究テーマ」の基準
    • 規範的問題から実証的問題への変換方法
    • パズルを探す
(2) 順序付きの箇条書き
  • 半角ハイフン「-」を「数字.」に換える

  • 順序なしの場合と違って数字の後にピリオド「.」が付く

  • 全角 3 文字以上の字下げで下位項目を追加できる

  • Rmd ファイルへの入力画面

1. 研究テーマの選び方  
   1.2 リサーチクエスチョンの種類   
     1.2.1 実証的問題   
     1.2.2 規範的問題     
     1.2.3 分析的問題  
   1.3 「よい研究テーマ」の見つけ方     
     1.2.1 「よい研究テーマ」の基準     
     1.2.2 規範的問題から実証的問題への変換方法   
     1.2.3 パズルを探す     
  • html の出力画面
  1. 研究テーマの選び方
       1.2 リサーチクエスチョンの種類
         1.2.1 実証的問題
         1.2.2 規範的問題
         1.2.3 分析的問題
       1.3 「よい研究テーマ」の見つけ方
         1.2.1 「よい研究テーマ」の基準
         1.2.2 規範的問題から実証的問題への変換方法
         1.2.3 パズルを探す

3.4 見出し

  • 章、節、段落のタイトルを付ける際は「#」を使う
  • #」の数が多いほど文字が小さくなる
  • #」は 4 つまで使える

3.5 区切り線

  • 区切り線は --- または *** を使います

  • Rmd ファイルへの入力画面

---
  • html の出力画面

3.6 表

  • Markdownの表は「行」は「改行」、「列」は「|」で区切られる

  • 表の第 1 行はヘッダー(変数名や列名が表示される行)扱い

  • ヘッダーと内容の区分は |---| で行う

  • ``」で囲むと文字の背景をグレーで表示できる

  • 1 行目はヘッダーで太字、自動的に中央に揃えてくれる

  • 2 行目以降・・・デフォルトでは左揃え

  • 2 行目で列ごとに「左揃え」「中央揃え」「右揃え」に指定できる
    |:---|・・・左揃え(デフォルト)
    |:---:|・・・中央揃え
    |---:|・・・右揃え

  • Rmd ファイルへの入力画面

|項目|関数|役割|           # ヘッダー(太字で中央揃え)
|:---|:---|:---|
| 1. データを指定|`ggplot(data = )`|データを選ぶ|
| 2. 変数を指定|`aes()`|変数を指定 |
| 3. グラフの種類を指定|`geom_*()`|グラフの種類を指定|
  • html の出力画面
項目 関数 役割
1. データを指定 ggplot(data = ) データを選ぶ
2. 変数を指定 aes() 変数を指定
3. グラフの種類を指定 geom_*() グラフの種類を指定

3.7 画像

  • R Markdown に画像を入れるには次のようにチャンクの外に入力する

![](ファイル名)

  • 画像ファイルがワーキングディレクトリ(つまり、R プロジェクトフォルダ、つまり keiryo_2023)にない場合
  • パスを指定する必要がある
  • I. Rプロジェクト作成keiryo_2023 という R プロジェクトフォルダを作成した
  • この R プロジェクトフォルダの中に画像を入れて、そこからその画像を RMarkdown に表示してみる
  • Step_17 を復習

Step_17: R Project フォルダ内の確認

  • 画面中央の上の方にある Files をクリック
  • ここで作成した keiryo_2023 という名前の R Project フォルダ内を確認できる

  • フォルダ内には次の 4 つのファイルがある
ファイル名 役割
.Rhistory 履歴ファイル
first_trial.html 画面右側の pane に表示される出力(htmlファイル
first_trial.Rmd 画面左上の pane に表示されるテキスト(Rmd ファイル)
keiryo_2023.Rproj RProject を開くためにクリックするアイコン
  • tsubakuro_2000.JPG というファイルを keiryo_2023 の中に入れる

  • keiryo_2023 の中に tsubakuro_2000.JPG が入っていることを確認する

  • 次のコードを「チャンクの外に」入力して Knit する

  • Rmd ファイルへの入力画面

![](tsubakuro_2000.JPG){width=30%} # サイズの調整も可能  
  • html の出力画面

  • 写真を中央に寄せて表示したければ、次のように入力すれば良い
::: {style="text-align: center;"}
![](tsubakuro_2000.JPG){width=30%}
:::
  • html の出力画面

図表用のフォルダを作る ・通常、ファイルを整理する観点から、R Markdown に表示したい図や写真は、R プロジェクトフォルダの中に figure など好きな名前を付けたフォルダを作り、その中に入れておくと便利
tsubakuro_2000.JPGfigure の中に入れるのが望ましい
・その場合のコマンドは次のようになる

::: {style="text-align: center;"}
![](figure/tsubakuro_2000.JPG){width=30%}
:::
  • 図のあるパスが次のように変更されていることに注意:
    tsubakuro_2000.JPG

    figure/tsubakuro_2000.JPG

3.8 リンク

  • ハイパーリンクの設定方法は次のとおり
[テキスト](URL)
  • []内は実際に表示されるテキスト

  • () は飛ばしたい先の URL

  • Rmd ファイルへの入力画面

[ここ](https://www.asanoucla.com/)を参照
  • html の出力画面
    浅野ゼミの HP はこちらを参照

3.9 脚注

  • 例えば、下のような文書で「・・・判断できる」と「。」 の間に「しかし、わからないことは何でも聞けばよいというわけではない。」という脚注を入れたい場合

  • Rmd ファイルへの入力画面
・・・ある程度のことが判断できる[^foot1]。

[^foot1]: しかし、わからないことは何でも「聞けばよい」というわけではない。
  • html の出力画面

解説:

  • [^foot1] ・・・脚注を入れたい所に置く
  • [^foot1]:・・・コロンの後ろに脚注に入れたい内容を書く
  • ^ は「固有識別子」と呼ばれる
  • foot と脚注番号 (1, 2, 3,...) は半角で入れる

3.10 数式

  • インライン数式は $数式$ もしくは $$数式$$ で埋め込む

  • 数式は LaTeX の書き方とほぼ同じ

  • R Markdown の数式は MathJax によってレンダリングされる

  • MathJax ライブラリは HTML に埋め込まれていない
    → インターネットに接続せずに HTML ファイルを開くと数式が正しく出力されない

  • Rmd ファイルへの入力画面

$Y = a + bx^2$
  • html の出力画面
    \(Y = a + bx^2\)

  • 数式を独立した行として中央に寄せて表示したければ $$数式$$ を使う

  • Rmd ファイルへの入力画面

$$Y = a + bx^2$$
  • html の出力画面
    \[Y = a + bx^2\]

  • 数式が複数の行で構成されている場合は $$ 内に aligned 環境 \begin{aligned}・・・\end{aligned} を入れる

  • 複数の行にわたる数式の書き方

  • Rmd ファイルへの入力画面

$$
\begin{aligned}
(x-x')^2 + (y - y')^2 < r^2 \\
x^2 + y^2 < 0.5^2
\end{aligned}
$$
  • html の出力画面
    \[ \begin{aligned} (x-x')^2 + (y - y')^2 < r^2 \\ x^2 + y^2 < 0.5^2 \end{aligned} \]

3.11 引用

  • 引用する時には、文章の最初に > を入れ、その後に半角のスペースを 1 つ入れる

  • Rmd ファイルへの入力画面

次は『我が輩は猫である』の文頭である。  

> [A] 吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当けんとうがつかぬ。
  • html の出力画面

次は『我が輩は猫である』の文頭である。

[A] 吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当けんとうがつかぬ。

3.12 コメント

  • とりあえず書いてはみたが、当面使わない、しかし消すのがもったいない、という文書を保存する方法

  • コメントとして残して起きたい文書は <!----> で囲む

  • Rmd ファイルへの入力画面

この下の行にコメントを書きますが、それは出力されません
<!--
  この行に書かれている文字はコメントなので出力されません
  -->
  上の行にコメントは表示されないはずです
  • html の出力画面

この下の行にコメントを書きますが、それは出力されません

上の行にコメントは表示されないはずです

3.13 R コードとチャンク

  • R Markdown を使って、簡単な文法のみで構造化された文書が作成できる
  • R Markdown の意義は「文章」と 「R コード」と「結果」が統合されること
  • ここでは「文書」に 「R コード」を組み込む方法について紹介

「文書」に 「R コード」を組み込む方法R コードをチャンクの間に入力する
・下の記号で囲まれた部分を R Markdown ではチャンク(Chunk)と呼ぶ

```{r}

```

・チャンクの中に R コードを入力する
→ R コードと結果が同時に出力される

  • チャンク内では R と全く同じことができる
    ・パッケージの読み込み
    ・データの読み込み
    ・オブジェクトの生成
    ・データハンドリング
    ・可視化などなど

  • 文中に R コードを埋め込むことも可能

  • 例えば、単に 1 から 5 までの数値の平均値を求めたければ、次の R コードをチャンクに入力すれば良い

x <- c(1, 2, 3, 4, 5)
mean(x)
[1] 3
  • しかし、例えば、次のような文書を出力したい時には工夫が必要
x <- c(1, 2, 3, 4, 5)  
変数 x の平均値は 3 になる  
  • これを出力するためには、文中に R コードを埋め込む必要がある

  • Rmd ファイルへの入力画面

  • html の出力画面
x <- c(1, 2, 3, 4, 5)  

変数 x の平均値は 3 になる

  • このようにベクトル x <- c(1, 2, 3, 4, 5) を文中に埋め込むと、仮に x の値を変更しても、平均値を自動的に計算してくれるので便利である

3.14 チャンクオプション

  • R MakrdownRMarkdown から構成される
  • R はチャンク内の部分
  • Markdown はチャンク外の部分
  • それぞれのカスタマイズが可能
  • 分析のコードと結果はチャンクにオプションを付けることで修正可能
  • 文章の部分はヘッダーで調整可能
  • チャンクは ```{r} で始まる
  • {r} の箇所にオプションを追加することができる
    →  {r チャンク名, オプション1, オプション2, ...}
チャンクオプションの使用例 1:
  • チャンクオプションを使うと、地図を出力する際の表示サイズを指定できる

チャンクオプションの使用例 2:

3.15 コードまたは結果の表示/非表示

  • チャンク・オプションとして指定する

  • R コードだけ見せたい」とか「結果だけ見せたい」場合に使うオプション

  • 実際に編集する際には、とても便利な機能

  • 例えば、x <- c(1, 2, 3, 4, 5)の平均値を計算するコードの場合

何も指定をしない場合   
  • チャンク・オプションに何も指定しない
x <- c(1, 2, 3, 4, 5)
mean(x)
[1] 3
コードのみ出力し、計算を行わない場合

```{r eval = FALSE} とチャンク・オプションを指定

x <- c(1, 2, 3, 4, 5)
mean(x)
コードを表示せず、結果だけを表示する場合

```{r echo = FALSE} とチャンク・オプションを指定

[1] 3
  • チャンク・オプションに関する詳細な解説はこちらを参照

3.16 プロット

  • R Markdown では作図の結果も出力できる
  • 図のサイズや解像度を変えることもできる
引数 内容
fig.height : 図の高さ・インチ・デフォルト値7
fig.width : 図の幅・インチ・デフォルト値7
fig.align : 図の位置・・・“left”, “center”, or “right”
fig.cap : 図のキャプション
dpi : 解像度・デフォルト72・出版用だと300以上
library(tidyverse)
  • hr96-24.csv をクリックしてデータをパソコンにダウンロード  

  • RProject フォルダ内に data という名称のフォルダを作成する

  • ダウンロードした hr96-24.csv を手動でRProject フォルダ内にある data フォルダに入れる

hr <- read_csv("data/hr96-24.csv",
               na = ".")
  • このデータを使って、高さ5インチ、幅7インチ、中央揃え、解像度 72dpi の図を作成

  • キャプションとして「2021自民党総裁選立候補者の選挙マージン:1996-2024」を付けてみる

  • 下の R コードには表示されないが、チャンク・オプショには次のように入力する

```{r, fig.height = 5, fig.width = 7, fig.align = "center",
dpi = 72, fig.cap = "2021自民党総裁選立候補者の得票率:1996-2024"}
hr |> 
  select(year, voteshare, j_name) |> 
  filter(year < 2024) |> 
  filter(j_name == "岸田文雄" | j_name == "高市早苗"| 
           j_name == "河野太郎"| j_name == "野田聖子") |> 
  ggplot(aes(x = year, 
             y = voteshare, 
             colour = j_name, 
             linetype = j_name, 
             shape = j_name)) +
  geom_point() +
       geom_line() + 
  geom_text(
    aes(y = voteshare + 0.1, 
        label = round(voteshare, digits = 1), vjust = 0)
    ) +
  theme(legend.position = c(0.9, 0.2)) +
  
  labs(x = "総選挙年", 
       y = "得票率(%)") +
  theme_bw(base_size = 10, base_family = "HiraginoSans-W3")
2021自民党総裁選立候補者の得票率:1996-2024

2021自民党総裁選立候補者の得票率:1996-2024

3.17 チャンクオプションのもう一つの書き方

  • 3.1.14 プロット では、チャンクオプションは{r}の内部に指定すると説明した

  • しかし、チャンクオプションが多い場合
    → コードの可読性が低下してしまう
    → #|を使ってチャンクオプションの指定をする

  • チャンク内部に #| を書く
    #|以降の内容がチャンクオプションとして認識される

  • 3.1.14 プロット では、下のチャンク・オプションを指定した

```{r, fig.height = 5, fig.width = 7, fig.align = "center",
dpi = 72, fig.cap = "2021自民党総裁選立候補者の得票率:1996-2024"}
  • これは次のように書こことができる
```{r}
#| fig.height: 5 
#| fig.width: 7
#| fig.align: "center"
#| dpi: 72
#| fig.cap: "2021自民党総裁選立候補者の得票率:1996-2024"

全てのチャンクに共通のオプション指定をする方法

  • Rmdファイルの最初のところで宣言する  

  • 全ての図を中央に揃えたい(fig.align = "center")

  • 全ての図の解像度を 300dpi にする(dpi = 300")
    YAMLヘッダーに続く最初のチャンクを以下のように書く

```{r, include = FALSE}
knitr::opts_chunk$set(fig.align = "center", dpi = 300)
```
  • RMarkdown ファイルの全てのチャンクに fig.align = "center"dpi = 300 オプションが付く

3.18 コードのコスメティック

  • R Markdown の結果は他人と共有するケースが多い
  • 読みやすいコードを書くことが大切
  • tidy = TRUE というオプションを加える
    → 自動的にコードを読みやすい形に調整してくれる
  • 例えば、下のコードを tidy = TRUE と指定しない場合と指定した場合で出力を比較してみる

チャンクに入力する R コード

hr|>ggplot(aes(x=year,y=voteshare,colour=j_name))

チャンクに tidy = TRUE と「指定しない」場合の出力

hr|>ggplot(aes(x=year,y=voteshare,colour=j_name))

チャンクに tidy = TRUE と「指定した」場合の出力

hr|>ggplot(aes(x=year,y=voteshare,colour=j_name))
  • チャンクに tidy = TRUE と指定しただけで、読みやすい R コードになった
  • tidy = TRUE を使うためには、事前に {formatR}パッケージをインストールしておく必要あり
  • しかし、他のパッケージと異なり、Rmdファイルを使う度に library(formatR) と読み込む必要はない
  • {formatR}パッケージに頼らず「R コードの字下げ」や必要な箇所に「半角スペースをこまめに入れる」ことが大切

3.19 ヘッダーのオプション

  • R Markdown ファイルを生成すると、ファイルの最上段には下のようなヘッダー(header)が表示される
---
title: "Untitled"
author: "Masahiko Asano"
date: "2022-09-13"
output: html_document
---
  • 4 つの項目が指定されている
    title: 文書のタイトル    ・author: 作成者の名前
    date: 文書の作成日(今日の日付)
    output: 出力形式・・・ここでは html に設定

  • R Markdown ヘッダーは YAML(ヤムル)形式で書かれている

  • 上の項目は修正可能

  • インラインRコードを埋め込むことも可能

・作成日をファイル生成日でなく、Knitした日付にしたい場合
→ Sys.Date()関数を使って、date: "2024-11-18"と指定
subtitle:を使ってサブタイトルを指定できる
abstract:で要約を入れることも可能

3.20 目次の追加   

  • 大きな容量の文書を作成する場合
  • 目次を入れると、文章の構造が一目で把握できて便利
  • 目次は見出しに沿って自動的に生成される
  • # は章、## は節を作る
---
title: "タイトル"
subtitle: "サブタイトル"
author: "作成者名"
date: "`r Sys.Date()`"
output:
  html_document:  # 字下げする(html_document は output の下位項目だから)
    toc: FALSE    # 字下げする(toc は html_doc の下位項目だから)
    toc_depth: 3  # 目次の深さは 3 まで可能  
    toc_float: FALSE # フローティング目次はなし  
    number_sections: FALSE # 目次の通り番号はなし 
---
toc :目次の出力 デフォルトはFALSE
toc_depth :目次の深さ デフォルトは 3
toc_float :フローティング デフォルトはFALSE
number_sections :通し番号 デフォルトはFALSE

3.21 コードのハイライト

  • コードチャンク内のコードの一部に対して自動的に色付けを行う
  • コードの可読性を向上させる効果がある
  • 色付けの詳細は html_document:highligh: から調整可能
  • 下の例では highlight: "tango" と指定している
---
title: "タイトル"
subtitle: "サブタイトル"
author: "作成者名"
date: "`r Sys.Date()`"
output:
  html_document:
   highlight: "tango"  # ここにハイライトを指定する  
---
  • R Markdown 2.3 の場合、10種類のテーマが使用可能
  • 自分の好みでハイライトテーマを替えることができる

参考文献