浅野ゼミナールでは、異文化を学ぶことを目的としたアメリカ研修を行っており、2006年以降、ほぼ毎年、ロサンゼルスとシアトルを交互に訪問しています。今年は8月17日~24日の間、6名のゼミ生がシアトルを訪問しました。

羽田空港からシアトルのタコマ空港までは9時間のフライトでした。シアトルのダウンタウンに到着してまず驚いたのは、新旧が併存する町並みでした。古い街並みと近代的なビルが共存している光景は日本ではあまり見ることのできない風景でした。

立ち並ぶ近代的なビル群             現在も残る昔ながらの建物

シアトルで私たちが訪問した主な場所は次の通りです。

① Microsoft本社
② Adobe社
③ Theo Chocolate工場
④ Boeing工場
⑤ Pikes Place Market
⑥ ワシントン大学

マイクロソフト本社とAdobe社
今回の研修の「目玉」は、Microsoft社とAdobe社を訪問することでした。Microsoftの本社はセキュリティに厳しく、本社近くに車を止めているだけで警察から退去の警告を受けるとのこと。浅野先生の古い友人であるジョー・オーゼックさん(Microsoft元社員・Adobe現社員)をご紹介いただき、オーゼッックさんにご協力いただいたお陰で、二つの会社の内部をじっくり見学するという貴重な経験が出来たのはとてもラッキーでした。

オーゼックさんが運転する車に乗せてもらって、シアトル郊外のレッドモンドにあるMicrosoft本社に向かいました。途中、ワシントン湖畔にあるビル・ゲイツの大邸宅を車中から見ることができました。ダウンタウンから車で約40分かけてMicrosoft本社に到着しました。約72万m²もの広大な敷地面積の中に100以上の建物が立ち並ぶMicrosoft本社は「キャンパス」と呼ばれ、本社だけで約5万人もの従業員が働いているそうです。

私たちが参加したツアーでは、Microsoftにおける新しいワーク・スタイルやワーク・プレイスの考え方を、バーチャル・オフィス見学という形で体験しました。またMicrosoft社の今後の事業展開に関するプレゼンを聞き、私たちからの質問も受け付けてくれました。情報保持のため、写真撮影が禁止されていたことが非常に残念です。その後、オーゼックさんがMicrosoft社の敷地内をあちこち案内して下さいました。

なんとベルリンの壁の一部が            Microsoft Visitor Centerでオーゼックさんと

Adobe社ではオーゼックさんのオフィスを見学し、普段どのような仕事を行っているのかを聞きました。東京大学大学院からAdobe社に海外インターンとして滞在されている加藤淳さんにAdobe社内を案内していただきました。オーゼックさん、加藤さんとランチを食べながら、アメリカの会社への就職や大学院への進学などに関して、私たちの質問にこたえていただきました。日本の会社と違ってAdobe社は自然環境を配慮した構造になっていて、オフィスも快適で大変仕事がしやすいとのことでした。  

Adobeの社内食堂にて加藤さん(右から二人目)、オーゼックさん(右端)と

Theo Chocolate工場

シアトルで最も有名なチョコレートであるTheo Chocolateの工場見学ツアーに参加しました。Theo Chocolateはコンゴのカカオ農家とフリートレードをしているチョコレート会社で、持続可能な農業や社会を目指している素晴らしい企業です。ガラス張りの工場見学室内で、カカオ豆からチョコレートになるまでの生産工程等を聞き、最後にデコレーションをするキッチンへ。そこでは、お店で一粒ずつ売られているチョコレートを試食しました。 約一時間のツアーが終わると、ショップ店内へ案内されます。ショップ店内には沢山のチョコレートがあり、試食も食べきれないほどありました。 また、チョコレートを食べ過ぎた人用のコーヒーやお水も無料で置いてあります。

Theo Chocolateの看板              工場内の様子

Boeing工場
世界中の人々が利用する飛行機を作っている世界最大の航空宇宙機器開発製造会社BOEINGの工場見学ツアーにも参加しました。BOING社は、飛行機の製造工程の様子を実際に公開している数少ない航空会社です。ツアーではまず、巨大なスクリーンで飛行機の歴史やBOING社の歴史、現在世界中を飛んでいる飛行機が紹介されます。次に大型バスに乗って工場内部に入り、工場内を歩きながら製造中の飛行機を間近で見ることができます。製造中のBOING-787とBOING-777を見ることができました。

ここでもMicrosoftと同様、技術や情報の漏洩防止のため、写真やビデオの撮影は禁止されていました。工場内への持ち込みも厳しく制限され、財布と鍵以外はすべてロッカーに入れなければなりませんでした。私たちは飛行機の工場の大きさに圧倒されてしまいましたが、飛行機の仕組みや製造工程が実際にどうなっているのかを知ることができ、感動しました。

世界中の国旗が           飛行機の歴史的変遷がわかる

本物のジェットエンジン          飛行機のタイヤ

Pikes Place Market
ダウンタウンにある「パイク・プレイス・マーケット」という大きな市場にも出かけました。沢山の花や果物や新鮮な魚介類が売られています。このマーケットには、なんと、あの有名なスターバックス一号店があります。スターバックスはシアトルから始まり、本社もシアトルにあるのです。アメリカのスターバックスは日本と違い、飲み物を頼む際にカップに名前を書いてくれます。ちなみに日本人はシアトルのスターバックスで「イチロー」と書いてもらうことが通例になっています。

スターバックス一号店のエンブレム      スターバックス一号店内の様子

ワシントン大学
ワシントン大学は敷地がとても広く、200もの建物があります。歩いている人もたくさんいますが、なにせキャンパスが広大なので、教室を移動する際にはバスや自転車を使う人も多いようです。図書館はとても大きく、圧倒されました。校舎の美しさ、運動場の規模、近代的な大学病院の施設など、日本の大学とあまりにも違うのでとても驚きました。

他には、ダウンタウンにある『Seattle Art Museum(通称SAM)』や、MLBのシアトル・マリナーズのホーム球場『Safeco Field』にも行きました。

ワシントン大学の校舎の一つ      図書館はまるでファンタジーの世界

Seattle Art Museum(通称SAM)      マリナーズのホームSafeco Field

スペース・ニードルの展望台にて       本場のハンバーガーを堪能

わずか一週間のシアトル滞在でしたが、私たちは今回の研修で、世界を代表するコンピューターソフト会社であるマイクロソフト社やAdobe社、世界最大の航空宇宙機器開発製造会社BOEINGの工場、そしてアメリカの秀英が集うワシントン大学などを実際に見学することができ、とても充実した時間を過ごすことができました。「百聞は一見に如かず」(Seeing is believing)を実感した一週間でした。
(文責:経済学科3年 駒形元気)

参加したゼミ生の感想

  経済学科2年 富井明希
MicrosoftとAdobe社の現場を見学し、そこでの技術開発により世界の人々が情報を得たり、コミュニケーションを拡げたり、それ以外にも様々な場面で現代の生活に生かされているということを改めて実感しました。そして、これからの未来に向けてITツールの可能性を拡げ、ユーザーにより良い製品を提供しようと企業全体で取り組んでいる様子も垣間見ることができました。 また、現地での自分の英語力の未熟さを痛感したことで、勉強意欲を向上させる良い機会にもなりました。これを期に日本と海外のIT企業の違いについて調べようと思ったり、留学を前向きに考えたりするなど帰国後の心境の変化が大きく、今回のプログラムは自分にとって有益なものとなりました。

経済学科3年 佐藤佑一
Microsoft訪問では、近未来的な技術をたくさん見せていただき驚きの連続でした。それらの技術からは、自分たちの暮らしを最先端で考えて良くしていこうとする、第一線で活躍する企業の一面を感じました。また、Adobe社では、オーゼックさんと加藤さんから伺った日本とアメリカのIT企業を比較した話がとても興味深く、両国の企業の考え方の違いやそれぞれの長所を学ぶことができました。 シアトルでの生活においては、ホテル周辺を歩いたり食事をしているときに、現地の人から話しかけることが度々ありました。自分の拙い英語でも、こちらの意思が伝わったときは、ある種の感動があります。フランクな人が多く、初対面の人から笑顔で握手を求められたりと、人との壁を感じさせませんでした。今回の研修を経て、また海外へ行きたい、そしてもっとたくさんのコミュニケーションを取れるようになりたい。そんな欲求が自分の中に強く芽生えるとてもいい経験になりました。